プラトン立体と関係が深い多面体にゾーン多面体がある。
既に中世以降、そのいくつかの代表的なものが見つかっていた。しかし、本格的にこの多面体が研究されたのは20世紀の中期には入ってからである。
プラトン立体はユークリッド幾何学を確立する礎となってきた。これから記述する内容はその古典的幾何学の変容がテーマとなる。
幾何学の発展の歴史において、ゾーン多面体はある非ユークリッド幾何学へと変容する橋渡しの役を演じることになる。
ユークリッド幾何からどのように形態が飛躍するか、目に見える形でを紹介していこうと思う。
既に建築構造の項にはその変容を第三の構造体として示してきた。
すなわち、「ゾーン多面体構造を基に、その外殻を軸材による構造体で形成し、更にその構造の各構成要素の外方側面を抽出した構造を形成することによって第三の構造を形成する」。
これは胡桃の殻がその構造であり、核となる実がゾーン多面体にたとえることができる。
表に秩序だって表れる形態にはある種の法則が存在している。
この項では、そこにまで至る思考の過程を幾何学的考察を交えて詳細に示していこうと思っている。
【ここからのあらすじ】
・・・第三の構造は今まで断片的にその特徴が現れていた。それに対する幾何的判断においては、情報が散乱した状態であった。だが、個々の内容には共通点も見え隠れしていた。本質を掘り下げることによって、あるしくみが見えてくる。それによって構造の新たな性質が浮び上がり、後に有用な技術や芸術となって展開していく。
新たなシステムを見い出すための要は、ゾーン多面体と軸材による構造の二つ要素における接点を見つけ、それらを融合することによって新たな構造の範疇を見出している点にある。そこで、その二つ要素について説明し、その接点について述べることにする。
ゾーン多面体へ
Keplers Modell of Solar systems © from:
Mysterium Cosmographicum (1596)