幾何学とは
幾何学とは空間とかたちの言語である。
またそれは、いかに宇宙を把握するかに通じている。
ある時代には、それが儀式、すなわち造形や身体的運動でもあった。
よって、その及ぶ範囲は、天文や物理学の先にある創造の源である芸術にまで至る。
古典幾何学への回帰
しかし、一般的に幾何学といえば、図形や数式から成り立っている。
これは従来の伝統的なやり方で、その世界に入っていくための一つの道筋のに過ぎない。
特に図形を離れ、直感や創造性を排除しようとする代数による解析幾何の登場は数学の進化のため必要であった。
しかし、それによって長らく幾何学の広範囲に及ぶ叡智が忘れ去られていた。
前世紀後半より徐々に古典的な幾何学が見直され、更なる展開を見せている。
これは偉大な幾何学者HMS・コクセターによるところである。
幾何学の目的
哲学的に、幾何学は思考のある形式を示し、それは変容する。
従来の思考形式が18世紀近く続いたことで、私たちの文明は偏った進展をたどってしまった。
それによってこの文明は、自ら生み出したものによって翻弄されている。
これから示していく内容は、ごく身近な私たちの思考形式であるが、我々文明を支えてきた古典幾何学の変容する姿である。
創造の源から発する自由への飛翔を、あらゆる分野に至らせることが幾何学本来の目的である。