その構造に至る経緯
紀元前3世紀にできたユークリッド幾何学は、我々の文明の基礎を作り上げてきました。
しかしその学問は、紀元前後から中世にかけては中断され、いまだ未完成の状態にあります。
一説に、この幾何学の目的は、正多面体(プラトン立体)の解明に向けられていたといわれています。
中世以降、その多面体は神聖幾何学として発展し、天文・建築・芸術の分野に深く取り入れられてきました。その原理を用いて惑星の運行に関する法則を導き、建築ではゴシック様式の大聖堂が設計されたのです。そしてドーム建築の頂点にサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂が建設されました。
この材料を積み上げることで構造を形成する、「第一の構造様式」は、19世紀に主流の座を去ることになります。
産業革命以降、鉄の大量生産に合わせ、新たな構造の潮流が現れます。材料を繋ぎ合わせることで構造を形成する、「第二の構造様式」です。
神聖幾何学(多面体幾何学)は、新たな時代に向けその研究が再開され始め、その結果多様な形態の建築に影響を与えました。しかし、それは断片を見せたに過ぎませんでした。
20世紀の半ば、正多面体の解明は球面幾何学と結びつき、フラードームで知られることになるジオデシック理論が生み出されました。
これは、第二の構造様式の最もエネルギー効率を高めた形態であるといえます。
その発展の中で現れたテンセグリティーという形態は、次なる構造様式に至る入り口でもありました。
同時期、多面体幾何学の頂点にゾーン幾何学が君臨し始めます。正多面体を成す基軸を分解することで解明された形態でもあります。
後に、この幾何学はユークリッド幾何学の臨界点を示すと同時に、第三の構造様式にシステムを与える核となっていきます。
構造の概要
第三の構造とは
それは相互依存形式の構造であり、幾何学的には多軸体という。これに正多面体の規則性を与えることで正多軸体となる。それ以外は、平面や曲面パターンの広がりに過ぎない。
しかし、この多軸体の構成がゾーン多面体を内包することにより、ゾーン幾何学の性質を取り入れることが可能となる。それによって立体が備えている最大限の変容能力を発揮することになるのである。
さらに、その構成要素である軸材を線材に変容させることで、テンセグリティーとなる他、格子空間を充填するまで軸材を変容させることで、ドーム型の構造物へと技術転換できる。